抗生物質の内服
風邪はウイルス感染であり、基本的には抗生物質は不要でありますが、クラリスロマイシンなど一部の抗生物質は免疫調整作用があることがわかっております。また風邪をこじらせた際には細菌感染も合併しやすい(黄色の痰や膿が出だすなど)ことから、現時点では抗生物質の内服をお勧めしております。
漢方薬による治療
漢方薬はウイルス感染初期における生体の温熱産生を手伝い、発汗による自然な解熱、寛解に導きます。その結果、早ければ1日で治ってしまうことも稀ではありません。一般的には葛根湯が有名で、常備薬をおくのであればとりあえず葛根湯がお勧めです。風邪かなと思ったら、早めに内服してみてください。当院では、西洋医学的な診察をしたあと、東洋医学的な脈診で証を決めた上で、10種類程度の漢方薬のなかから処方をきめます。
漢方薬の飲み方
漢方薬の多くは薬草を数種類組み合わせ、水で煮詰めてその抽出液を温めて服用します。したがって、100 ml程度の熱湯で溶かし、暖かいうちに、出来れば空腹時の服用が理想的です。
薬を飲んだ後の療養
温熱産生を援助することが重要ですので、冷たい飲食物の摂取や、冷たい風に当たるなどことのないようにすべきです。暖かいたべもの(うどんやおかゆ)などを摂取し、少し汗ばむように厚着や布団に入って休むとよいと思われます。ただあまり汗をかきすぎるのも良くないことがあります。気持ちよい汗を2~3回かけば良くなることが多いです。
インフルエンザの治療
基本的には通常の風邪と同じですが、インフルエンザの場合は抗ウイルス剤の使用で軽快することが多いです。状況に応じて抗ウイルス剤の内服、点滴、吸入を行います。また漢方治療としては、麻黄湯が有効であることが多いです。
解熱剤、および総合感冒剤の使用
発熱することは生体の防御反応の一つであり、解熱剤による解熱はその防御反応を低下させる可能性があります。特に風邪の初期から解熱剤を使いすぎると、病状が遷延する可能性があります。
遷延した(こじらせた)風邪の治療
風邪をこじらせた場合、食欲不振、微熱、味覚の変化、喉の乾燥、めまい、咳痰が長く続くなどの症状が出てきます。このような場合にも漢方薬が有効であることが多く、多くの場合は柴胡桂枝湯(ツムラ10番)+半夏厚朴湯(ツムラ16番)あるいは柴胡桂枝湯+麦門冬湯(ツムラ29番)などで軽快することが多いです。